ランゲルハンス島だよりvol.1
[2016.06.09]
1.糖尿病とは
糖尿病の定義は、「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群である」と教科書には書かれています。
わかりやすく言えば、以下の4項目の1つでも満たせば、症状の有無にかかわらず糖尿病と診断されます。
①早朝空腹時血糖値が、126mg/dl以上
②随時(食事と採血時間関係を問わずに測定した血糖値)200mg/dl以上
③HbA1c(1から2ヶ月間の血糖値の平均を表す指標)が6,5%以上
④75g経口ぶどう糖負荷試験でぶどう糖接収後2時間の血糖値が200mg/dl以上
よく患者さんが、糖尿病の境界型と言われたと、おっしゃることが多いのですが、
上記の検査で調べてみると、すでに糖尿病と診断される方は、かなりたくさんおられます。
糖尿病は初期のうちには症状がなく、徐々に進行しても自覚症状がない場合が多いので、放置されやすい病気です。
気がついたときには、すでに糖尿病が非常に悪くなっていて、糖尿病性細小血管合併症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などが、
かなり進行していることがありますので、油断はできません。
境界型、メタボリック症候群のかたは、一度受診をして、確定診断を受けてください。
「今日のキーワード」
血糖値とは何か?
血糖値とは血液100ml中に含まれているぶどう糖の量で、単位はmg/dlです。
早朝空腹時の正常値は70から110mg/dlです。
決して、砂糖とか果糖の濃度ではありません。
砂糖は(ぶどう糖+果糖)の2糖類で、シュークラーゼという小腸の酵素で消化しなければ、吸収されません。
果物などに多く含まれる果糖は、単糖ですので、吸収には消化酵素は不要で、口腔内ですぐに吸収されます。
果糖は砂糖に比べると、吸収が早いので、果糖の摂りすぎは血糖管理を悪くします。
一般的には、果物は体に良いと考えられていますが、糖尿病の方は摂取する際に注意が必要です。
特にぶどう、みかん、桃、柿の摂りすぎは血糖管理を著しく悪くすることがありますので、控えるようにすることが良いでしょう。
今回は最初ですので、少し堅苦しくなりましたが、おいおい各事項についてわかりやすく説明してゆきたいと思います。