ランゲルハンス島便りVol.2
[2016.06.16]
今回は、糖尿病の種類についてのお話です。
糖尿病はたった漢字3文字で表されれますが、原因や病態等を考えれば、
非常に多くの種類に分類され、それぞれ治療法が異なっています。
したがって、治療するには、どのような糖尿病なのかを、把握する必要があります。
一般的な糖尿病は、大きく以下に分類されます。
①1型糖尿病
②2型糖尿病
③そのほかの原因を有する糖尿病
難しい話になりますが、①②について、説明を加えたいと思います。
①1型糖尿病
病態的にはインスリン分泌が枯渇し、生命維持のためのインスリン療法が必須となります。
主に小児期から思春期に多いとされていますが、中高年でも認められます。
その原因として、自己の免疫により、インスリン分泌細胞[膵β細胞」が破壊されます。
破壊の原因となる自己抗体は、GAD抗体、IA-2抗体、ZnT8抗体です。
加えて、甲状腺疾患等他の自己免疫疾患を合併していることもあります。
1型糖尿病の診断は、上記抗体が陽性である事に加え、内因性(自分のすい臓の)インスリン分泌能を示す血中CPR血が
0,6ng/ml以下が目安となる。
1型糖尿病はさらに以下の3種類に分類されます。
・急性発症1型糖尿病
・緩徐進行1型糖尿病
・劇症1型糖尿病
急性1型、緩徐進行1型糖尿病は前に記した自己免疫の関与が大きく、自己免疫性に分類されます。
劇症1型糖尿病は自己免疫の関与が不明であり特発性に分類されます。
症状としては、急性、劇症1型糖尿病では、短期間に高血糖、ケトン体血症になります。
これは、直ちにインスリン療法を開始しなければなりません。
自覚症状として、体重減少、口渇、頻尿です。
緩徐進行1型糖尿病は、診断されても直ちにインスリン治療を必要としないことが多いです。
2型糖尿病
インスリン分泌が枯渇している1型とは異なり、インスリンの分泌が保たれています。
しかし、肥満や、生活習慣が悪い状態が続くと、顕性化してくるタイプの糖尿病です。
家系内血縁者に、しばしば糖尿病を認めることがあり、遺伝因子と環境因子が重なり合って、発症します。
インスリン分泌能は保たれていることが多いので、まず食事療法、運動療法を基礎とした治療を行い、
必要なら薬物療法での治療を行います。
2型糖尿病の中でも、筋肉でのインスリンの取り込みが低下している(インスリン抵抗性が強い)場合と、
インスリン分泌自体が、悪い場合があり、治療も異なってきます。
インスリン分泌自体が、悪い場合があり、治療も異なってきます。
これを区別するためには、HOMA-Rという指標を計算すれば、インスリン抵抗性が推測できます。
HOMA-R = 空腹時血糖値 × 血中インスリン濃度(IRI) ÷ 405
この値が概ね、2を超えているならば、インスリン感受性が悪いということになります。
その場合、インスリン感受性を促進する薬剤の投与と、体重のコントロールで、管理がよくなります。
一方、2型糖尿病でもインスリン分泌能が悪い場合は、ブドウ糖毒性解除のため強化インスリン療法を短期間施行します。
これで、すい臓を完全休養させ、分泌能が戻ったならば、経口剤に戻すことも可能です。
インスリンは一度打つと一生打たなければならないと考え、インスリンを嫌がる方も多いですが、そういう時代ではなくなってきています。
2型糖尿病の一つに、ペットボトル症候群といわれる糖尿病があります。
これから夏になると、清涼飲料水やブドウ糖の入った電解質補充飲料を飲まれる方が多いかと思います。
しかし、毎日1~2Lの清涼飲料水を飲んでいると、1型糖尿病にみられる、著しい体重減少、口渇、頻尿、ケトン体血症などがおこります。
放置すると悪化し、入院加療が必要となる場合があります。
脱水予防にはあくまで、水、茶等で補給摂取することが望ましいでしょう。